避難所の“クレクレ問題”とは?――いざという時、誰が「面倒な人」になるのか

時間の無い方の為にこの記事のポイントを最初にまとめておきます。

▼この記事の「ポイント」と「まとめ」

  • クレクレ問題とは、避難所で物資を過剰に要求する人々の問題
  • 自己中心的な行動はストレスや不安が原因となる
  • 高齢者はターゲットにされやすいので注意が必要
  • 自助・拒否の練習・仲間作りが大きな対策になる
  • 災害時こそ、人間性と備えが試される
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もし、災害に遭遇したとしたら

避難所にも「人間関係のストレス」はあるだろう

災害が起きたとき、私たちの命を守る最後の砦が「避難所」です。
ところが、その避難所でも「人間関係のストレス」が発生しているみたいなんですよ。

特に近年、SNSや体験談を通じて問題視されているのが――
**「クレクレ問題」**です。

「これ余ってる? ちょうだいよ」
「うちの子どもに優先してくれないの?」
「おにぎり2つしかないの? じゃあ、あんたの分も寄越してよ」

避難所という特殊な状況だからこそ、本来ならば譲り合いの精神が求められる場面で、
逆に自己中心的な振る舞いが目立つ人が出てきてしまう。
それが、いわゆる「クレクレさん」です。

今回は、この避難所におけるクレクレ問題について、
定年退職を迎えた私たち世代がどう向き合うべきか
また被害に遭わないための心構えなどをまとめてお届けします。

冷静に考えてみるのですが、「クレクレさん」断りずらいですよね。

何故って?自分も今まで、人からもらった経験があるからですよね。みんなそうだと思いますが、緊急時には自己防衛も考えなくてはなりません。

自分に余裕が無い時は他人を助ける必要はないのです。

「クレクレ問題」とは何か? ~避難所で起こる“利己主義の暴走”~

まず、「クレクレ問題」とは何か、もう少し具体的に見ていきましょう。

避難所では、物資の供給が限られています。
毛布・水・食料・衛生用品など、すべてが十分に行き渡るわけではありません。

そんな中で、「自分の取り分以上に要求する人」が現れるのです。

たとえば、こんなケースが報告されています:

  • おにぎり配布で1人1個と決まっているのに、横から2~3個持っていく
  • 子どもがいる家庭だからと優遇を主張し、他人の分まで要求する
  • 持ち込んだ個人の私物(水や充電器)を「貸して」「分けて」と執拗にせがむ
  • 支援物資を勝手に仕分けし、「これはうちの」と占有しようとする
  • 他人が配給を受け取っていないことを見計らって、後から余分に取りに行く

こうした行為は、避難所の雰囲気を悪化させ、
トラブルや口論、場合によっては暴力沙汰にまで発展することもあります。

実際、2016年の熊本地震では、避難所における物資トラブルが多数報告されました。
被災者の声として「家族が多いからという理由で、自分の分を取られた」
「子どもを盾にする人がいて、逆らえなかった」といった事例が、SNSや報道で話題になったのです。


なぜ人は避難所で“自己中心的”になってしまうのか?

普段は温厚で常識的な人でも、災害下では豹変することがあります。
ではなぜ、避難所ではこのような自己中心的な行動が起きてしまうのでしょうか。

1.「不安」と「ストレス」による心の防衛反応

災害時、人間は極度の緊張状態にあります。
命の危険、家の喪失、生活の不安…こうしたストレスが重なると、
「自分と家族を守らなければ」という意識が極端に強くなるのです。

その結果、本能的に他者への配慮よりも自己の欲求を優先してしまう。

また、避難所という環境は非常にプライバシーが少なく、
常に周囲の目や音、気配にさらされるため、精神的な余裕もなくなっていきます。
これが「他人に配慮できない心」の土台となり、やがてクレクレ行動として現れるのです。

2.「避難所=公共空間」という意識の欠如

避難所はあくまで**「みんなの場所」**であり、
自分だけのための空間ではありません。

ところが、私物を大量に広げて「ここはうちのスペース」と主張したり、
トイレや水場の使用順を勝手に決めたりするような振る舞いをする人が後を絶ちません。

公共空間という意識が希薄になると、
「人のものを奪っても当然」「うちには必要だから」という思考が優先され、
クレクレ行動が正当化されてしまいます。

定年世代が“ターゲット”にされやすい理由

私たち60代以降の世代が、このクレクレ問題に巻き込まれる可能性は意外と高いのです。

なぜなら

  • 年長者として「譲るべき」という暗黙の期待がある
  • 自分のことを主張するのが苦手な人が多い
  • 単身避難や夫婦のみの世帯が多く、“押し負け”しやすい
  • 「無理を言われても断れない」性格の人が多い

特に、定年後に一人暮らしを始めた男性などは、
声をかけやすい“カモ”と見なされることもあります。

「ひとりで避難しているのだから、少しくらい譲ってくれて当然」
そんな無言の圧力に、心当たりのある方もいるのではないでしょうか。

実際に私の知人(70代女性)は、震災の際に避難所で
「お水をちょうだい」としつこく言われ、断れずに持っていた2リットルすべて渡してしまい、
結果的に脱水症状で体調を崩しました。

避難所では、善意が利用されることもある――
これは知っておいて損はありません。

クレクレ問題への「心の準備」と対策

では、いざという時に備えて、どんな準備をしておくべきなのでしょうか?

1.必要最小限の「自助」を徹底する

まず大切なのは、自分で自分を守るための備えです。
最低3日間、自立できる物資を準備しておきましょう。

  • 水(1人1日3リットル×3日分)
  • レトルト食品、非常食
  • モバイルバッテリー(ソーラー式推奨)
  • 使い捨てマスク・トイレットペーパー・除菌用品
  • 着替え・タオル・簡易寝具
  • ポケットラジオや手動ライト
  • 現金(電子決済が使えない場面に備えて)

備えが十分であれば、避難所での物資配給に頼らずに済み、
「他人の分を取りたくなる」心理にもならずに済みます。

2.毅然と「NO」と言える練習をしておく

「すみません、それは家族の分です」
「これは自分で備えていた物なので、分けられません」
このように、断る勇気と表現の練習をしておくことも重要です。

ポイントは「冷静に」「簡潔に」「無表情で」断ること。
余計な説明や謝罪は不要です。隙を見せると、つけ込まれます。

普段の生活でも、「これお願い」と言われた時に一度断る練習をしておくと、
いざという時に役立ちます。

3.「仲間」をつくる

避難所では孤立しないことが最大の防衛策です。
近隣の信頼できる人と連絡を取り合い、
情報共有や物資の融通を行える関係性を事前に築いておきましょう。

可能であれば、日頃から防災訓練や地域の集まりに顔を出しておくのも効果的です。

孤独な人よりも、信頼できる関係を持っている人のほうが、
クレクレさんにとって“狙いにくい相手”になります。

最後に――あなたは“与える人”か“奪う人”か

災害という非常時は、人間の本質をあぶり出します。

「自分さえよければいい」となるのか
「周囲と協力して乗り越える」となるのか
私たちは、普段の心構えによってどちらにもなり得るのです。

避難所というのは「共助の場」であると同時に、
時に“我慢の場”にもなります。

そして、その中で「声の大きい人」が得をし、
「遠慮がちな人」が損をする構図が生まれやすい。

だからこそ私たち定年世代は――
「優しさ」だけでなく「自己防衛」の力も持っておくべきです。

誰かの善意を利用する人にならないこと。
同時に、自分の善意が搾取されないように守ること。
その両方が、避難所での「正しい人間関係」につながります。

自分を守り、家族を守り、そして必要があれば他人も助ける。
そんなバランス感覚を、これからの「防災意識」として身につけていきたいと考えています。

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