ホテル泊もいいけれど、気ままに車で動きながら、その日の気分で行き先を決める。
そんな自由な旅には、“自分のペース”で食事を楽しむ工夫が欠かせない。
ケチケチせず、でも無駄に使わない──そのちょうどいいバランスが、旅の心地よさを決めるのです。
定年後、自由な時間を得てからというもの、ふらっと気の向くままに旅へ出ることが増えた。宿を決めず、車中泊を交えながら、気候や気分に合わせて旅程を変える──そんな気楽さが、いまの自分には心地よい。
しかし、旅を続けてみると意外に響いてくるのが「食費」だ。ホテル代を抑えても、食事が外食続きでは結局それなりの出費になる。
とはいえ、あまりにケチケチしてしまうと旅の楽しみが半減する。そこで今回は、旅の充実感を損なわずに、食費を上手にコントロールする方法を、自分の実体験をもとにまとめてみたい。
定年後の自由旅を快適に続ける知恵
■ 定年後の自由旅──「宿を決めない旅」の面白さと難しさ
定年を迎え、時間の縛りから解放されてからというもの、私はよく“気ままな旅”に出るようになった。
行き先を決めず、車中泊を交えながら、その日その日の気分で方向を変える。ホテルを予約しなくても、好きな時に好きな場所で休める気軽さは何物にも代えがたい。
ただ、旅を重ねていくうちに気づくのは、宿代よりも食費のほうが意外と響くという現実だ。
「毎食外食」ではコスパが悪い。だが、あまりに節約に走ると楽しさが失われる。
この“ちょうどいい加減”を見つけることが、長く旅を続けるコツになる。
■ 「安くても満足」──旅先の食の楽しみ方を再定義する
食事は、単なる栄養補給ではなく「旅の思い出の一部」だ。
だから、「安く済ませる」ことを目的にしてしまうと、旅の味が一気に色あせる。
私のルールはこうだ。
1日1回はご当地グルメを楽しみ、残りの食事は手軽に整える。
これだけで、出費と満足のバランスが取れる。朝食や昼食は軽めに、夕食に少し奮発すれば、それだけで旅のリズムができてくる。
■ スーパーと道の駅は「旅人の食卓」
車中泊旅で頼りになるのが、スーパーと道の駅だ。
スーパーの惣菜コーナーには、地元メーカーの漬物や魚の南蛮漬けなど、“土地の味”が詰まっている。
夕方に訪れれば半額シールが貼られ、質の良い惣菜が300円台で手に入る。
それを車中で食べながら、「この土地の家庭の味はこうなんだな」と感じる時間が、外食とは違う楽しみをくれる。
道の駅も侮れない。
地域の特産品を使った軽食や手作りパンが手頃な価格で売られており、朝食や軽めの昼食に最適だ。
ときどき見つかる“地元農家の弁当”などは、まさに掘り出し物。観光地価格ではない、生活の味がある。
■ 港町の「海鮮」は要注意──ラーメン・焼肉の安定感
旅の途中で訪れた港町では、海鮮料理店が軒を連ねていた。
せっかくだからと入ってみようとしたが、どの店も驚くほど高額。しかも、ネットの評価を見ても意外と低い店が多い。
観光客向けに値段が上がっているケースが目立ち、コスパを考えると二の足を踏んでしまう。
一方で、ラーメンや焼肉店は、どのエリアでも“ハズレが少ない”。
特に地元の人が通っている店は味・量・価格のバランスがよく、安心して食べられる。
港町で「海の幸」をあえて外し、ラーメンやジンギスカンを選ぶ。これが結果的に“当たり”になることも多かった。
■ コンビニは「移動日の味方」と割り切る
移動日には、コンビニの存在がありがたい。
おにぎりやコーヒー、サンドイッチなど、衛生的でどこでも手に入る。
ただ、便利さの反面、やや割高で、数日続けると栄養も偏る。
私は「移動日の食事はコンビニ、滞在地では地元スーパー」と役割を分けている。
「それどういう事?」そう、訪れた街が気に行った時はそこに2~3日滞在して楽しんでいるのだ。長居は確かに無用だけど、そのくらいなら楽しめるのではないかと思う。
コンビニは“応急食”、スーパーは“日常食”、地元食堂は“ご褒美食”。
この棲み分けを意識するだけで、食費の無駄が一気に減る。
火を使わない・飽きない・無理しない
■ 車内での調理は絶対にしない──安全意識の重要性
ここで強調しておきたいのが「車内調理の危険性」だ。
私は旅の中で一度も、車の中で火を使ったり、煮炊きをしたりしていない。理由は明確だ。
車内での火気使用は、想像以上に危険だからだ。
車内は天井が低く、空間が狭い。
わずかな火でも、熱がこもってプラスチック部品が溶けたり、衣類や寝具に燃え移る恐れがある。
さらに換気が不十分だと、一酸化炭素中毒や酸欠の危険まである。
また、お湯を沸かす行為もNGだ。
車内で湯気を立てれば、湿気がこもってカビや結露の原因になる。
何より、熱湯がこぼれれば重大な火傷につながる。
安全啓発的に言うなら──「車内では火も熱湯も使わない」ことが鉄則だ。
調理をしたい場合は、キャンプ場など屋外で。
または、カップスープやレトルト食品をコンビニで購入し、電子レンジを利用する方法が安全で確実だ。
以外にも、カップ麺などは残り汁の処理が面倒な事も知っておくべきだ。お手洗いに捨てているとしたら、それはやめるべきだ。確実に詰まったり、野生動物を引き寄せる原因にもなりかねない。
■ 食費を抑える“1日の構成術”
旅の食費を自然に抑えるには、1日の食事バランスをあらかじめイメージしておくと良い。
たとえば、次のようなサイクルが定番になっている。
- 朝:スーパーのパンと果物、コーヒー
- 昼:道の駅で地元定食
- 夜:スーパー惣菜やラーメン屋
これで無理なく満足できる。
さらに、1日おきに「地元グルメデー」と「節約デー」を交互に設定すれば、財布にも体にも優しい。
安くても、内容が変われば飽きない。それが長旅を楽しむコツだ。
■ 「味の記録」を残すと旅がもっと面白くなる
節約旅をしていると、どうしても同じような食事になりがちだが、「小さな発見」を記録するだけで旅の充実度は変わる。
たとえば、食べた惣菜やお弁当の写真を撮り、スマホにメモを残す。
「この土地の漬物は甘め」「この地方は味噌汁が濃い」──そんな気づきを積み重ねていくと、旅が“自分だけの食の研究”に変わる。
地味だが、これが意外に楽しい。
■ 節約しすぎない勇気──「安全と快適」を優先する
食費を抑えるのは大事だが、やりすぎは禁物だ。
体調を崩しては意味がないし、疲れた日はしっかり温かいものを食べた方がいい。
疲れたな、と思ったらビジネスホテルに泊まったら良い、どの都市でも駅前を目指すと大体あるものだ、風呂に入り、ベッドで寝る、寝具の有難さを改めて知る事になり新鮮な気持ちになる。
節約は「旅を長く続けるための手段」であって、「目的」ではない。
だからこそ、**“無理のない節約”“安全な行動”“心の余裕”**の三つを守ることが、結果的に旅のコスパを高める。
■ まとめ──「節約=知恵」安全あってこその自由旅
車中泊旅の魅力は、自由さにある。
けれど、その自由は「安全」という土台の上に成り立っている。
火を使わず、無理をせず、食を通してその土地を感じる──それが本当の車中泊旅の楽しみ方だ。
スーパーと道の駅を上手に使い、港町では観光価格に惑わされず、地元の味を知る。
安全を守りながら、気ままに旅を続けていく。
それが、定年後の“第二の青春”を充実させる一番の方法だと、私は思っている。
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