定年を迎えてまず感じたのは、
「人間関係の煩わしさがなくなった」という安堵でした。
会社勤めの頃は、苦手な上司や苦手な客に気を遣い、
したくもない挨拶訪問に神経をすり減らし、
「人付き合い」が仕事のようになっていました。
ところが、退職したその日から、
そうした人間関係がパタリと途絶えました。
これが自由というものか。
はじめは本当にそう思いました。
定年後に現れた変化
「去る者は追わず」の心地よさ
会社の人間関係は「仕事」があるから続いていただけ。
無理に連絡を取ることもないと割り切れば、
案外さっぱりとした気持ちになります。
たとえば、定年後に年賀状の枚数が減ったとき、
「寂しいな」と思う反面、
「あの人ともやっと縁が切れた」と感じた人もいたのではないでしょうか。
そう、去る者は追わず。
自分を縛る人間関係とは、さようならをしてもいいと思えるようになりました。
でも、ふと感じる「孤独」という影
ただ、しばらくすると
妙に寂しい瞬間も訪れるようになりました。
天気のいい午後、誰とも話さずに終わった一日。
テレビに向かって笑っている自分に気づくと、
「なんだか、誰ともつながっていないな」と思う。
自由と孤独は、背中合わせなのだと気づきました。
「煩わしい人間関係」は消えたけれど、
「心を通わせる人」もいなくなっていた。
これは、定年後の多くの人がぶつかる現実です。
孤立するのは嫌だけど、誰とでも付き合いたいわけじゃない
60代になると、「数」より「質」です。
無理に新しい友人を作る必要はありませんが、
本音を話せる相手が1人でもいると、心の安定感が違ってきます。
でも、こんな声もよく聞きます。
- 「町内会の集まりは気を遣って疲れる」
- 「同窓会のノリがついていけない」
- 「年寄り扱いされるのがイヤ」
つまり、「孤立は嫌だ」けど、
「煩わしい人付き合い」はごめんだというジレンマです。
定年後の人付き合い、「自分なりのマニュアル」を持つこと
この年齢になってまで、人間関係に悩まされたくはない。
だからこそ、「正しい人付き合いの自分なりのマニュアル」が必要です。
ゆっくりと考えてみました
無理をしないこと。
期待をかけすぎないこと。
気を遣いすぎないこと。
これらを意識するだけで、人間関係のストレスは大きく減るのではないでしょうか。
たとえば、こんな「自分ルール」
- 週に一度は誰かと話す
→スーパーの店員でも、趣味のサークルでもOK。声を出す習慣は大切。 - 無理にLINEのやりとりを増やさない
→既読スルーや返事が遅いと気になるなら、あえてやらない選択も。 - 自分に合わない人とは距離を取る
→嫌われてもいい。「去る者は追わず」で大丈夫。 - 本当に信頼できる人だけ、年に1~2人でもいい
→たくさんの友人より、「心が許せる人」を大事に。
定年後、近くを散歩中に偶然、地域の公民館を発見し立ち寄ったことで、ろう者との手話コミュニケーションに参加するようになりました。出会いは何がきっかけになるかわかりませんね。
LINEに付いても、頻繁な返信が必要な人たちがいる事が分かりました、こんな人たちと距離を置くようにしたところQOLがずいぶん改善されたと感じます。
友人は作る物ではなく出来る物、無理する必要は無いと感じます。
定年後の人間関係は「足し算」より「引き算」
友達は多い方が優れているのか?
働いていた頃は、「付き合いの数=人脈」と考えていました。
でも、定年後は「数が多いほどしんどい」のが現実です。
自分を疲れさせる人、否定してくる人、
マウントを取ってくる人、
全部いらない。
人間関係は、減らしていい時期に入ったのです。
実際に、定年後の人付き合いを整理した人のほうが
「精神的に安定している」という調査もあります。
【比較:60代の人間関係の満足度】
人付き合いを整理も一度考えてみても良いのでは、、。
タイプ | 人付き合いを整理した人 | 無理に付き合いを続けている人 |
---|---|---|
ストレス | 少ない(42%) | 多い(68%) |
孤独感 | 少ない(33%) | 多い(59%) |
日々の幸福感 | 高い(55%) | 低い(28%) |
※2023年 全国シニアライフ調査より(※仮のデータです)
定年後の人間関係を再考する
「来る者は拒まず」は本当?
一方で、「来る者は拒まず」という姿勢も大切にしたいところです。
ただし、誰でも歓迎する必要はありません。
自分の価値観に合う人、無理なく付き合える人に限りましょう。
たとえば、趣味で出会った人。
ボランティア活動で顔を合わせる人。
そういう自然な出会いこそ、無理なく続く人間関係のはじまりです。
「一人は好き。でも孤立は嫌」
これが60代に多い本音だと思います。
家で過ごす時間は快適だけど、
「誰にも頼れない」と思うと急に不安になる。
孤立は、精神的にも肉体的にもリスクがあります。
孤独死や、うつ病のリスクが高まるという研究もあります。
だから、自分なりの「人付き合いの軸」を持つことは、
健康と安心のために欠かせないのです。
「人との関係に悩まない生き方」は60代からでも遅くない
大事なのは、**人付き合いで「悩まない生き方」**を自分で選ぶことです。
それは、友人を増やすことでも、孤独を我慢することでもありません。
必要な距離でつながる。
無理に追わない、でも来た縁は大切にする。
まさに、「去る者は追わず、来る者は拒まず」――
これが、定年後のベストな距離感かもしれません。
まとめ
今日、誰かと話しましたか?
このブログを読んでくれたあなたに、最後に問いかけたいと思います。
「今日、誰かと話しましたか?」
一言だけでも構いません。
「ありがとう」「おはよう」「元気?」
そんな小さな会話が、
60代の心をふっと温かくしてくれるものです。
新しい出会いも求めましょう
従来の人間関係を整理するのと同じく、新しい事にチャレンジして新しい出会いにも期待した生き方、活動を始めませんか?
これからも、人間関係に縛られず、
でも、孤立もせず、ちょうどよくつながっていく。
そんな人を生きていきたいと思います。
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