この本、残念ながらキンドル版がありません、単行本しかないんですよ、書かれたのはおなじみの美輪明宏さんですが2002年に初版が出ていて、67歳の時に出版されています。
何度も何度も読み返している本なんです。
大変興味深いことが述べられているので一部をご紹介してみたいと思います。
この世は正と負 相反する事象が一対になって存在しようとする
正負の法則とは
端的に言い表している言葉がありますのでご紹介します
「何かを得れば何かを失うもの」
この世のものはすべて正と負、反対の性質のものが一対になってバランスを保ち存在している法則がある
悲しみを伴わない幸せは存在しない、正だけ、または負だけということも無いのだ、だから、世の中の事象・現象はバランスをとるために自動的に逆の事象を引き寄せるということなのだ、
例えば、年齢を重ねれば、精神は充実し、貯えも増えていくこともある、しかし一方、肉体は衰え、健康のこと、病気のこと、老後のことといった悩みも増えていくもの、とあります
常に反対の性質を持つ事案・現象がバランスを保つために一対になって存在しているということなのです。
正と負の実際とは何か
相反する事象・出来事がバランスよく一対にって存在するとはどういう事なのでしょうか?
美輪さんがこの本の中で例として言われているのが少し怖すぎるのですが、、。
富も名声も手に入れた大きなお屋敷の中に、長患いの病人や怪我をしている人が多く、家族みんなが健康でバリバリというケースは少ない、、。
たとえ一時的に健康であってものちに植物状態のまま長く生き続けたり、身内に長く精神や肉体を患っている人がいたり、親戚同士で仲が悪く人間関係のおぞましい生き地獄の中で暮らしていたりということが多いらしいのです。
一方、貧乏ながら子だくさんで、毎日の食に苦労するような貧乏家族なのに誰一人病気もせず、毎日に笑顔がある家庭、境遇は不幸だけど、実は中身は幸せだったりする事も多い、、。
そこから言えることは人間には何もかも全部だめという人は珍しく正のない人や負のない人はいないということなんだそうです。
人間は必ず平等にツケを払わなければならないということ
しかし、逆にそんな事が分かってくると自分がそれほど不幸でもなく、そこそこ幸せだよねと思う事も出来るのではないかと述べられています。
肝心なのは正と負の部分は一対になっているのなら正があれば負もある、どちらも長続きしません、だから良い事があったら先回りして負を自分で作るということも意識した方がよいのです。
ふいに襲われた府ではなく自分が意識して作った負であればそこまで嘆き悲しむことも無いでしょう。世の中の大富豪たちが、寄付をしたり、ボランティアの団体を作るのは、自ら負を作ることによって負の衝撃を軽くしているのだとも述べられています。
美輪さんにとっての正と負
美輪さんがこのような考えに至ったのは、幼少期の経験にあるようです。色街のそばで、料亭や質屋などを経営していた家に生まれ、家の裏に遊郭もあって、そこに売られてくる不幸な女の子たち、美人、不細工、今より貧富の差が激しかったとか、、。日本人の8割が貧乏だった頃だそうです。
そこで、様々な人たちの中で子供として少し距離を置いて冷静に大人たちを眺めていて人の人生に必ず正と負の部分が同じ量あって、ぱっと見だけではわからないことも感じたそうです。
正と負の法則を生活に生かす
正と負が対になって一つ現象・事象を形作っているのなら正があれば同量の負も存在することになります、突然予期しない不幸に見舞われるより、自ら適度な負を作り出し、予期せぬ負を事前に防ぐこともできるといっています。
おめでたい事が有るとご祝儀を配ったりすることがあると思います、ゴルフでホールインワンを出した時も知り合いや周りに記念品と称してご祝儀を配りますが、みな同じように厄払い?自ら負を先払いしてややこしい負がやってこないようにしているのだということです
何かを得れば何かを失う、何かを失えば何かを得る。世の中和ランス逆の事象を呼び寄せてしまう、バランスを考えて行動していく必要がありそうだ。
昔から、人生は山あれば谷あり、苦あれば楽あり、この道理を言い表す言葉が複数ある。
この法則から言えば
「あなたがけなされていたまさにその同じ瞬間、誰か(あるいは自分自身)があなたをほめたりおだてたりしているはずである。
さらに、人から尊敬の目で見られたときには、まさにその同じ瞬間、誰かがあなたのうぬぼれを戒め、あなたをこき下ろしていること。
正と負の事象が両者がひとしく同時に起こっている、そういう事になります。
人間の悲しい性(さが)
人が行動を起こすときは以下の3つだそうだ
- 苦痛から逃れたい時
- 快楽を得ようとする時
- 突然の思い付き
しかし、上記の本能に従って行動したとしても正負の法則はついて回る。
すべてを手に入れてしまった人たちの末路
世界的な有名人、美女たちの宿命はどんなもんだったでしょうか?
クレオパトラ、楊貴妃、マリリンモンロー、ダイアナ妃、美人に生まれたばっかりにそれに見合う代償を払わされる羽目にあっています。
軽い、ちょいブスぐらいだったら負がやってきてもかすり傷化怪我ぐらいで済んでいたはずです。
モーツァルトは知らない人がいない音楽家ですが優れた才能と引き換えにお墓もどこにあるかわからないそうです。
法則通り上りつめたら下るだけだった
織田信長、豊臣秀吉、説明はいらないでしょう
自ら負を作り負を先払いしようとした人
石油王ロックフェラー
裏切りやあくどい手段を使って一代で石油王にまで上り詰めたが世の中の人から悪魔のように罵詈雑言を浴びせられて、全身の毛が全部抜けたそうです。
正ばかり考えて負を考えていなかったことに気が付いた彼は負の足し算を始めたそうです。それが今もある、慈善事業団体であるロックフェラー財団です。教会などにも多額の寄付を始めたといわれています。
読んで感じること
人生は、正と負の足し算引き算、
「なるほど、こんな不幸な目にあっているのはあんな吉事があったからなのだ」
「こんな良い事があるのはあれだけ悪い事が有ったからだ」
「何かを失えば何かを得られるとはこの事だったのか!」
言葉を変えると
- ポジティブとネガティブ
- 陽と陰
- 賞賛と批判
- リスクとリターン
- 獲得と喪失
全てはセットで、同量存在する、そんなことが言えるのではないか。
そんな気付きをさせてくれた本でした。
美輪さんありがとう。
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